文化系の日々

日々の雑記

妻文学

松尾スズキさんの「東京の夫婦」を手に取ってから、夫婦話づいている。

 

最近読んだのは、「働けECDと「私の絵日記」

働けECD わたしの育児混沌記 (ミュージック・マガジンの本)

働けECD わたしの育児混沌記 (ミュージック・マガジンの本)

 
私の絵日記 (ちくま文庫)

私の絵日記 (ちくま文庫)

 

の二冊。

 

「働けECDは、今年読んだ本で間違えなく3本指に入る「家族最期の日」や「かなわない」を書いた植本一子さんの最初の頃の作品。

そして、働けECDの中で植本さんが紹介していて知った、つげ義春さんの奥さんである藤原マキさんの「私の絵日記」。

 

両方とも、まぁここまで隠すこと無く生活をつづるなと。

「働けECD」では、その日の支出や月収の事も書いているし。

「私の絵日記」では、つげさんのうつ病に触れている。

 

2つの夫婦の共通点は、どちらもクリエイターということ。

植本さんは写真家でECDさんはラッパー。そして、藤原さんは状況劇場の役者でつげさんは漫画家。

普通の人にとっては、淡々とした日々かもしれない。

でも淡々な日々を他人に見せるとなると、自意識が働いてしまい、

少しでも飾りたくなる、そして逆に書くことがないと筆を折ってしまう。

 

だけど、2人は違う。

その日あった自分の感情もそのまま吐露するのだ。

もちろん、多少の抑制はあると思うけど、文字のままベースとしては赤裸々な日記。

文面だけ見ると、決してうまくいっている夫婦ではない。

でも、それぞれの形でしっかりと愛し合っているんだなと節々に感じる。

ただ、一つ忘れてはいけないのは、それぞれの筆者の主観で綴られた本であるということ。

「私の絵日記」のあとがきにある、つげさんの言葉にはっとする。両者ともしっかり言い分はあるものだ。