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朗読劇『往復書簡 初恋と不倫』 -不帰の初恋、海老名SA-

往復書簡 初恋と不倫

ドラマ「カルテット」の記憶も新しい坂元裕二さんによる朗読劇、

『往復書簡 初恋と不倫』 -不帰の初恋、海老名SA-を観てきた。

僕の友人たちからも一気読みしてしまったと評判の良い『往復書簡 初恋と不倫』。

「カルテット」が放送中にも、行間案件やレモン論争などキラーフレーズを生み出して、

今も雑談で話してしまうほど、心にささっている。

 

『往復書簡 初恋と不倫』は、朗読劇として上演されていたものだったが、それが今回書籍化された。

再演となる今回のキャストは太賀 さんと松岡茉優 さん。

 

放課後の教室だろうか。生徒の話し声。外ではバッティングの音がする。

そんなSEで包まれながら、観客は着席する。

 

そんな観劇をしたことはないが、上演前までのSEって結構大切だなと思う。

音楽を使うにしても、どんな意図なのか、それともテンションなのかと、

こちらが考えすぎてしまう。

 

読んでない方のために、あらすじだけ紹介をすると、

「わたしはどうしても、はじめのことに立ち返るのです。団地で溺れたわたしと同い年の女の子のこと。わたしだったかもしれない女の子のこと。」

初恋の人からふいに届いた手紙。

時を同じくして目にしたニュースでは、彼女の婚約者が運転する高速バスが横転事故を起こし、運転手は逃走中だと報じている――

 

というストーリー。

 

冒頭から嫌悪感を表す強めな言葉と共に、張り詰めた空気で劇は始まる。

普通であれば、こんなトンマナで話が進んでいくのかなと思うが、

そこはさすが坂元さん。思わずくすっとしてしまうセリフと共に、

主人公たちと共に徐々に観客がほぐされていく。

 

本にはない、セリフの間や声の震え。

本来、朗読劇用に描き下ろしたものなので、観ると本にはない意図というのが伝わってきた。

 

贅沢を言うと、本を読まず先に朗読劇から出会いたかった。

その本がなければ、存在したい知らなかったのだけど。

すごいはらはらしてしまう部分など、すでに本を読んでしまっていたから、

臨場感なく、少し一歩引いて観てしまったのが、とても悔やまれる。。

まぁ、自分の性格のせいだけれど。

 

最後に、友人がとてもおもしろいことを言ってくれた。

この公演のチケットは一人一枚しか買えない。

それは、演出上の意図かなと。

 

確かにこの話は、往復書簡。ここで交わされる言葉たちは、

本人同士が面と向かって話している訳ではなく、

手紙、もしくはメールで綴られている言葉たち。

交わらない主人公たち。観客も知らない人が隣で観劇することで、

なんらかの寂しさなどが、もしかしたら生まれたかもしれない。